帰化して「日本人」になった元オールブラックス、ロス・アイザック。帰化前の名前は「アイザック・ロス」。両親が元ニュージーランド代表というまさにラグビーのサラブレッド。201㎝。
トップリーグには多くのこうした「帰化選手」が在籍する。
W杯代表でいえば、ヴァル・中島・具・トンプソン・リーチ・ヘル・ツイ・ラファエレ・レメキ等など。当然彼らはトップリーグで「日本人」として常時出場できる。
ロスもこれからは所属する「NTTコミュニケーション」で「外国人枠」ではなく常時出場できるのだな。
ロスの、あの、でかくて、時にSHのように俊敏なプレイがこれからは常時見られるのは楽しみ。
と思っていたのだがそうではないようだ。
トップリーグの「外国人枠」は外国人とは限らない?
第3節のクボタ戦。ロスは後半途中から出場。同時にオーストラリア代表・リアリーファノが退出。これについて「BS日テレ」解説の大畑氏、
「外国人枠の都合ですね」。
ええ〜それって変じゃん。ロスは日本人なのに。大畑、わかってないのか〜。
と思ったが、考えてみる。
この「他国の代表歴のある外国人枠2人」って正確には「日本代表にはなれない選手」てことなわけだ。ロスの場合日本人になってもNZ代表歴がある以上、国際ルールで日本代表にはなれない。
てことはあくまで「外国人枠」として扱うということなのか。日本人であっても。
「トップリーグ規約」見たら確かにその通りだった。(資料参照)
ロスは2017年に日本国籍を取得しているが、私がこれまでこの問題、気にならなかったのは、去年Nコムには他に「他国の代表歴のある外国人」がいなかったからなのだな。その前年には南ア代表のヤンチースがいたがロスと合わせて二人。「枠」を超えようがなかった。ロスはほぼ先発出場していたと思う。
今年、リアリーファノと南ア代表マークスがNコムに加入して、この「枠」該当選手が3人になり「やりくり」が生じたというわけだ。
「トップリーグの出場資格」って、日本人のロスにとってはは意味不明だ
ロスが日本代表になれないのは「国際ルール」である。これには合理的理由がある。もちろん日本独自で変更などできない。
だが、「トップリーグの出場資格」はトップリーグで決められる規則。
ロスは「日本人で常時出場可」でいいのではないか。
と思ったら、規約では「但し」がついて、「2016年8月31日以前に」この枠にいた選手は「日本国籍選手として試合に出場することができる」のだそうだ。(資料参照)
この「2016年規定」に該当する選手としてはオーストラリア代表歴のあるヒーナン・ダニエルがいる。ヒーナンは2014年に日本国籍取得。パナソニックで「文句なし」日本人枠で出場している。
さてこの「2016年規定」、「日本国籍取得後、例えば3年で他国代表歴のある選手もトップリーグで日本人枠で出場できる」と言う意味なのだろうか。ロスの帰化は2017年。来年度にはこの規定が改定されて「2017年」になればロスも晴れて「日本人枠」で出場できるということなのか。
この辺なかなか細かい。そもそも日本人になったのならソク「日本人枠」でいいではないか。まあシーズン中ではややこしいのでせめて翌年から、で。
この該当者が何十人もいて「日本代表資格者」の出場枠が減ると言うならこの規制も必要かもしれない。ただこの場合も、「外国籍選手枠」などというべきではない。「外国籍」などではないのだから。「他国代表歴選手枠」というべきだろう。(注1)
ともかくこの「2016年規定」、ロスだけに適用されるものだ。日本を愛し、日本国籍を取得し、家族とともに日本に居住し、子供たちを日本の小学校に通わせる「日本人ラガー」を「外国人扱い」する理由ってあるのか。
〈追記1〉
ロスのごく親しい友人から連絡をいただいた。(下記コメント欄の方)その方によると、「2016年規定」は固定であり更新されることはないのだという。つまり他国代表歴があり日本人になってもトップリーグで「日本人枠」で出場できるのはヒーナンで「締め切り」ということだ。(もう一人、元トンガ代表、神戸のアンダーソン・フレイザーも)
もちろんこんなことはどこにも「明文化」されてなどいない。あくまで「内部情報」。確認のしよいうもない。来年度の規約が公表されればわかるか。
「元オールブラックス日本人」の活躍が見たい
日本では外国人が結婚や血縁によらず日本国籍取得するのって大変なのだ。
「出場枠」や「就職」目当ての「打算的帰化」など日本では認めない。従前の国籍を保持しつつ新たに国籍を得る「二重国籍」は多くの「先進国」で認められるが日本ではダメ。犯罪歴があったり、税の滞納があったり、その他素行不良が認められればダメ。
「日本語力」も含め「日本国籍取得」には「本当に日本人になる資格・覚悟があるのか」が法務省により審査される。(注2)
ロスや「ボーク・コリン雷神(注3)」、そして上記「帰化選手」達は、はこういう「厳しい日本人テストに合格」したってわけだ。完全な日本人。
その「日本人」にトップリーグでこれ以上の「枠・規制」はいらんよなあ。
まして「他国代表歴」を持って来日、帰化条件である5年以上居住した選手といえば、まあ年齢は30歳前後。選手としては晩年に当たる。残る数年の選手生活を、愛する日本で日本のためにトップリーグでプレイする。もちろん彼のプレイ・経験は敵味方問わず他のトップリーガーや学生・子供達の素晴らしいお手本となる。そこにブレーキかける意味ってあるのか。
「元オールブラックス日本人」の活躍は常時見たい!
〈追記2〉
ある方がこの記事を見て自らのFacebookでシェアしたところ、その「パパ友」であるロスの目に止まり、その方が日本語に翻訳してロスに見せたという。ロス、この記事を大いに気に入ってくれてた上、自らのSNSでシェア。このことはラグビー関係者にもほとんど知られていないので、まずぜひみんなに知って欲しいのだそうだ。
そのシェアをまた別のロスの友人が見て私に連絡をくれた。
「2016年規定」についてはその方からの情報。
というわけで、この記事、改めて、「拡散希望」です。
もちろん「私のため」などではなく、「ロスのため」、「現在・将来日本でプレイする来日ラガーのため」、「日本のラグビー界全体のため」、さらには「日本社会の幸福のため」、です。
《補足1》世間の一部ではこうした人々を、決して「日本人」とは呼ばず、「日本国籍を取得した外国人」みたいな表現が使われたりする。これ、言葉として間違ってる。「日本国籍を取得した人」は「日本人」。逆に米国籍ノーベル物理学賞の南部陽一郎氏は「米国人」。
「先住国民」と「帰化国民」を区別したいなら「〜系」を使えば良い。南部陽一郎氏は「日系米国人」。ロス・アイザックは「NZ系日本人」。
(注1)ボーク・コリン雷神の「7人制でNZ代表歴」の扱いについてはここでは触れない)
(注2)以前Jリーグ川崎フロンターレにジュニーニョというブラジル人ストライカーがいた。
W杯南ア大会前に「日本に帰化して日本代表に貢献する」と宣言してサポーターを沸かせたが「日本国籍取得」は叶わなかった。この時点で日本に5年は居住していたが日本語がほぼダメだったためだという。そもそも親善試合とはいえ「ブラジル代表歴」があったため「日本代表」にはなれなかったとの説もあるが、ロス・アイザックなど、日本代表になれなくても日本人になるという「日本愛」があったが、ジュニーニョにはそんなものはなく単に「どこでもいいからW杯に出たい」という「打算的場当たり帰化申請」であったと言われてもしょうがないだろう。
日本サッカー協会からの「特例要請」もあったかもしれないが、先述したように日本国はこういう特例「帰化申請」は認めない。
(注3)ラグビー界では帰化すると登録名も実名に伴い「名姓」から「姓名」に変わる。
さらには本人の希望で漢字名が添えられたりする。この旧「コリン・ボーク」は「ボーク・コリン雷神」に。今回の代表プロップは「ヴァル・アサエリ愛」その他「カウヘンガ桜エモシ」とか「ロトアヘア・ポヒバ大和」とか弟の「ロトアヘア・アマナキ大洋」とか。ただしこれ、ヴァル以外はみんなリコーの選手。誰が流行らせたんだか。まあ日本人になったからには漢字使いたいんだろうな。
【資料】トップリーグ規約
第35条
4.日本代表選手の資格がない日本国籍選手及び特別永住権を保有する選手の扱い
他国代表歴及び他国セカンドシニア代表歴を有する日本代表選手の資格がない日本国籍選手及び特別永住権を保有する選手は、代表歴を有する国の選手と同様に外国籍枠選手、アジア枠選手として出場する。また、5 月末及び 11 月末に日本国籍選手として登録した選手が、登録日以降に他国代表歴及び他国セカンドシニア代表歴を有した場合、そのシーズンは日本国籍選手として出場することができるが、翌シーズンは代表歴を有する国の選手と同様に外国籍枠選手、アジア枠選手として出場することになる。但し、2016 年8 月 31 日以前に、他国の代表歴及び他国のセカンドシニア代表歴を有し、日本国籍選手として登録した選手は、日本国籍選手として試合に出場することができる。
《補足2》ただこの規約、なかなかわかりにくい。最後の「但し」部分の日付がどの文にかかるのか。私の解釈が間違っているのならご指摘いただきたい。
《補足3》
上記規約はhttps://www.top-league.jp/wp-content/uploads/2019/05/kiyaku_2019.pdf
ただ「トップリーグ公式サイト」の「規約」にはこの「35条4」が見当たらない。
そもそも「強豪国代表歴のある選手が日本人になる」などと規定作成時に想定もしていなかったのだろう。
「ヒーナンのせい」で慌ててこの規定を追加したか。で、追加したものの、このサイトの「改正作業」をしていないものと思われる。
この辺りでもこの「規約」の「場当たり的いい加減さ」がうかがわれる。
〈追記3〉
その後ロスや多くのファンはトップリーグ日本協会に規約の改定を求めたが認められず、「外国人」との名称は見直す、だけとなった。ロスはNコムを退団。NZでプレイを続けている。
「いつか必ず日本に帰ってきます。私のホームですから。」














マフィの力量に疑いの余地はないが