高原








NHK「スポーツ✖︎ヒューマン・サッカーの果てまで連れてって」
あの高原直泰がこんなところにいた。
サッカー黄金世代の高原、40歳。今はサッカークラブ沖縄SVのオーナー・CEO・監督・選手の4役を務めているという。
このチーム、J3の下、JFLのそのまた下、「地域リーグ(九州)」に加盟。番組では「実質5部リーグ」と紹介していたが、全国リーグではないことを考えれば5部リーグですらない、と言える。
プロと言えばJ3まで、さすがに「5部」ともなれば完全なアマチュアチームかと思えば、メンバー26人のうち10人がプロ契約という。クラブとしてもJを目指している。
沖縄にはJ3の「FC琉球」もある。Bリーグの「琉球ゴールデンキングス」もある。
それでもさらにプロチームを、との要請・需要がある。
こうして全国にサッカークラブが増えてゆく。Jリーグクラブは年代別育成組織の保持も義務付けられる。義務付けられてはいないが女子チームの保有も推奨される。
リーグ創設時に10クラブだったのが現在54。
30年前の創設時、「ホラ話」としか思えなかった「100」も見えてきた。

高原はスポンサーとの交渉、コラボ商品の開発にもあたる。
所属選手は地元企業に就職した元Jリーガー、あるいは将来のJリーガーを目指す若手など。
実際、J1で開幕からゴールを量産し最近大分から「金持ち神戸」に移籍した藤本 憲明など、4部にあたるJFL佐川急便から一つ一つ這い上がってきた。そういう実例がある。
沖縄SVの選手は、練習・試合の合間に地元コーヒー園を支援したり開墾したり子供相手のサッカー教室を開いたりの日々を過ごす。
番組では明らかにされなかったがプロ契約でも年収は数百万行くかどうかだろう。もちろん将来の保障などない1年契約。

 

選手にとってのこの「サッカー環境」、日本サッカーの現在位置

この環境、私なんかはサッカー選手としてものすごく恵まれたものだと思う。「Jリーグ30年の成果」であると。地元の要請と熱い声援を受け、明日を夢見る若手とまだ現役にこだわるベテランが地方都市でともにプレイする。そこにかつてのスター選手も加わる。
「世界を知る」プレイヤーがその経験と技術を各地で若手・少年世代・女子チームに伝える。
さすがに「地域リーグ」所属の元代表といえば高原ぐらいだろうが、J2・J3あたりには、三浦カズ・中村俊輔・小野・稲本・などのスーパースターを始め元代表たちが現役としてプレイする姿がいくらでも見られる。

サッカーでは一方でこんな「底辺世界」とは無縁に20歳前後で海外のビッグクラブに飛び立つ才能もますます増えている。レアルマドリードへ行った久保健英(その後マジョルカへレンタル移籍)、バルセロナへ行った安部裕葵、などなど。
国内のJ1〜J3も盛況だ。J2あたりでも普通に数万人の観客がつめかける。
もちろん久保ら日本の「頂点」の挑戦と高原の「底辺」での挑戦は「別世界」のものではない。
早くから海外で活躍する選手、あるいは日本代表の選手の多くが今や「Jリーグの下部組織」出身であることを思えばこの二つの挑戦は連続したものであると言える。
どちらもまさに「Jリーグ30年の成果」だ。

そして日本ラグビーの未来図

小野澤宏時将来のラグビー環境もこうなってほしいもんだ。
そういえばラグビーでも元日本代表の小野澤宏時が去年福井県で地元国体のため選抜チーム入りし、地元少年チームの指導もしていると言う。世界を知る小野沢がその経験と技術を、福井の選手、子供達に伝える。現役選手として。チームメイトとして。
今年の国体にも選手として出場を決めたという。
(小野澤は静岡などでもコーチとして女子の指導などもしているようだがそれはまた別の話)

こんな選手活動が広がってほしい。
で、かつ、こうした「一時的選抜チーム」」などではない常設のクラブ。
日本中に元代表クラスの選手とトッププロを目指す若手・ベテランが、プロとアマがともにプレイするラグビークラブがある。育成組織も女子クラブもある、そんな環境か。
もちろんトップチームは最高の環境で、年俸も清宮氏のぶち上げた「1億円」を目指す。
だがそんなトップを持つピラミッドの最底辺にこんな環境もあってほしい。
もちろんこんな「底辺チーム」は「劣悪な環境」でしかなく、今の大企業に守られた「社会人ラグビー」こそが選手の幸福であるとの考えもあるだろう。そうした考えの元、従来の企業の部活動ラグビーもそれはそれで継続してほしい。サッカーも野球もそうした企業クラブは今もある。
一方で最近ではラグビーでも代表経験のある選手の「海外挑戦」が相次ぐ。
山田、日野、立川、内田など。彼らにとって「代表落選」は「選手生活の晩年」を意味しない。新たなチャレンジのスタートだ。

人生観はいろいろあっていい。
だが、日本ラグビーが国民的人気競技になるために、あるいは代表強化のために、あるいは競技人口を増やすために、あるいは「日本の幸福なスポーツ環境の一翼を、ラグビーも担うために」どうしたら良いのかはもはや論じるまでもない、と私なんかは思うのだ。
選択肢は多いほど良い。底辺は広いほど良い。
いうまでもなくピラミッドは底辺が広いほど、ピラミッドそのものもでかくなる。高くもなる。
サッカーはJリーグ発足からここまで来るのに30年かかった。
ラグビーも今から始めて、うまくいってもここまで来るのにあと30年か。
こんな「ラグビーの果て」も見てみたい。
私の寿命が持つか。