おとぶろラグビー夜話

ラグビーに関するあれやこれや。

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冨樫バスケットボールBリーグ「千葉ジェッツ」の冨樫勇樹選手の年俸が1億円を超えたことが発表された。
会見によれば「総収益17億円のうち冨樫選手の『貢献度』が1億円に相当するか、などの『細かい計算』などはできないという。とにかく今バスケをしている子供達、これからバスケをしようとする子供達へ『夢』を与えるため、そして日本のバスケ界の将来を考えて「千葉ジェッツ」島田代表と冨樫選手が「話し合って」決めたのだという。そしてそうした理由ゆえにあえて開いた「記者会見」であると。
「プロ化」後もバスケ界では「年俸」の話題などは出なかったが、あえて「仕事・職業」としてのバスケであることを改めて表明したかったのだと。
夢のある、ポジテイブな、バスケへの愛情溢れるいい会見であった。

さてラグビー。
トップリーグに日本人1億円プレイヤーが誕生する日は、いつかくるのだろうか。

「トップリーグに今後とも1億円プレイヤーが誕生しない理由」が聞こえてくる

これについて「できない理由」を挙げるのは簡単である。こういう声も多いだろう。
1. 日本の社員トップリーガー達は年俸は少なくても大企業の大卒正社員として「生涯収入」は十分多い。したがって選手は「一時的年俸だけが多いプロ化」など望んでいない。ムリムリ。
2.試合数が違う。毎日でも試合ができるバスケと基本週一試合のラグビーでは年間試合数がそもそも違う。したがって入場料収入も違う。したがって選手への配分も少ない。ムリムリ。
3. 選手の数が違う。5人で1チームのバスケと15人のラグビー。控えを考えても1選手あたりの「収益配分」はやはりラグビーは圧倒的に少なくなる。ムリムリ。
4. そもそも世界的市場規模が小さいラグビーは一流選手でも年俸は多くはない。スーパースターと言われる選手でも1億超えは多くはない。それが日本人選手などとてもムリムリ。 
5. そもそも「完全プロリーグ」など企業が望んでいないし協会も力量がない。「完全プロリーグ」ができない以上「1億円プレイヤー」などムリムリ。

どんなことでもそうだが、「現状できていないこと」について「できない理由」を挙げることはなんと簡単なことか。
しかしそれを言っていてはJリーグもBリーグも誕生しなかった。
「現状の平均入場者数は」
「現状のテレビ視聴率は」
「現状の企業における予算は」
「現状の競技人口は」などなど。できない理由はいくらでも挙げられたはずだ。

そもそもプロバスケリーグの成功など誰が予測し得たのか

バスケ冨樫選手のニュースに立ち戻る。
そもそも4年前に日本にプロバスケリーグができ成功すること、これほど盛り上がること、まして3年目で日本人1億円プレイヤーが誕生することなど、誰が予想できたのか。
バスケ界に近い人・詳しい人ほどそんなの「ムリムリ」と思っていたのではないか。
であるからこそFIBA(国際バスケットボール連盟)に「統一リーグ」を勧告されても2つのリーグは主導権争いに明け暮れ何も決められなかった。
「だってそんなできもしないプロリーグのために我がリーグの主導権は渡せないさ。」

「1億円プレイヤーなどムリムリ」を検証する

何か新しいことをはじめようと思えば「できない理由」を挙げるのではなく、「できる根拠」を考える事こそ建設的である。だが「できない理由」を無視するべきではないのは当然である。そのためにはやはり「できない理由」を一つ一つ消していかねばならない。その作業が必然的に「できる根拠」に繋がっていくだろう。
まず1.について。「プロ化など選手が望まない」のか。
人間には様々な価値観がある。
「安定した収入で生涯を送りたい」と考える人間もそれはいるだろう。
Jリーグ発足当初もこんな先行き不透明な日本のプロリーグになど人生を預けることはできない」と社員選手を続けたプレイヤーもいた。現「松本山雅」監督の反町康治氏なども当初は全日空の社員として横浜フリューゲルスの選手だった。
反町だがそれらの選手も「「Jリーグの安定と繁栄、そして魅力」を見届けた上で退社。「Jリーグ専従」となる。
その反町氏、現役引退後は新潟・五輪代表・湘南・松本などの監督を歴任。「若手の育成」と「予算の乏しいチームの強化」に実績を残している。
現在はそうした「社員選手」はいないと思う。J2以下では知らないが。

トップリーグも当面それでいいと私は考える。「安定と生涯収入」を優先して「社員選手」を続けるのもよし、「完全プロ契約」を選ぶもよし。トヨタのように「代表級の選手は現役中はプレイに専念、引退後は社業に復帰」という形も選手にはありがたいだろう。ただこの場合「プロ並み」の年俸ではないと思うが。
ただもし「完全プロリーグ」化が進み、これが成功し、選手側に選択権があれば選手側はおのずと「完全プロ契約」を望むのではないか。他の成功したプロ球技は皆そうなっている。
「未確認情報」によればパナソニックは全員プロ契約だという。「有望新人」をじゃかじゃか集められるのもそこに原因があるのではないか。やはり「有望な自信のある選手」にはプロ契約が魅力なのではないか。

プロ化において比較すべきはバスケではない

2〜3までについて。
「試合数が少ない」「競技人数が多い」事についてはいわば15人制ラグビーの「宿命」である。変えようがない。であるならば世界中どこでもプロリーグなどできようもない。だがもちろんプロリーグは存在する。今年からは米国カナダのプロリーグも誕生。NECの滝沢の加入が話題となっている。という事は、「日本でラグビーのプロリーグが実現するか」を考えるとき、比較すべきは国内のバスケなどではなく、国外のプロラグビーだろう。これと比較して、「実現しない日本の事情」があるのか。
なお、あえてバスケとの比較をすれば、競技場の大きさ、つまり1試合の入場者数、入場料収入はサッカーやラグビーのほうがはるかに大きい、人さえ入れば。つまりプロ化には有利であるとの一面もあると言える。バスケの体育館など大きくても数千人から1万人。サッカー・ラグビーの競技場なら数万から5〜6万人が収容できる。

4の「市場規模」についてはラグビーの「宿命」ではないにしろ「現状」ではある。世界が市場であるサッカー、北米という大市場を持つ野球・バスケ・アメフト・アイスホッケーなどの球技に比べて市場が小さいのは確かだ。だがこれにしろ現に海外ではプロリーグが成り立っているのだから「致命的な問題」ではありえない。
ただしこれら「巨大市場」を抱える競技のスーパースターのような「年俸数十億円」はまあラグビーには無理だろうが。ラグビーの歴代最高年俸はジョナ・ロムーで6億5千万。

あらゆるビジネス展開において、重要なのは「市場規模」の検証である

日本は人口1億3千万、GDP世界3位・5兆USドルの経済大国である。
この二つは市場規模の大きさを表す。
例えば今回のバスケの例にしろ、同じ計画・運営を人口5千万、GDP1.6兆USドルと日本の半分以下の隣国韓国で行いバスケ人気が同等だとしても、数字だけ比較すれば収益は半分以下、したがってどう考えても1億円プレイヤーは生まれない。まあチーム数の調整で、ある程度の「誤差」は解消できるだろうが、およそどんなビジネスであれ対象エリアの「市場規模」の概念なしに計画など立てられないのである。
観光地でもない過疎地でどんなに美味いラーメン屋を開いても儲からない。
逆にターミナル駅の「駅ナカ」であればソコソコのラーメンでも繁盛する。そういう事だ。

作家・村上龍氏によれば先進国で人口「1億人超え」というのは作家にとっても実に都合の良い数字だそうだ。そこそこいい作品を母国語で書いてそこそこの作家が食っていける。
これが人口5千万の国ではよほどのベストセラーを連発しないと作家では食っていけないという。小国で食える作家を目指せば「英語で書く」しかない、とか。
あるいはサッカーの世界。南米の一流選手はなぜ皆ヨーロッパでプレイするのか。
南米は確かに人口ではヨーロッパに負けてはいない。しかし市場規模のもう一つの要素、経済規模においてヨーロッパには到底及ばない。
入場者数で引けを取らなくても、入場料収入、スポンサー収入、グッズ収入、放映権料などでヨーロッパが圧倒する。その配分は選手にも回り、南米出身の選手はヨーロッパで「サッカー長者」となる。


「ラグビー大国」の市場規模を検証する
ラグビー大国の人口を見てみる。
そもそも人口1億を超える先進国など日本と米国だけであると断った上で、
英国6600万、南ア5600万、オーストラリア2400万、NZとアイルランド共和国にいたっては共にたった470万。
最大の英国でも日本の半分。
つまり日本でもラグビーが、「人気スポーツ」として認知されさえすれば市場規模は他の「ラグビー大国」と比べて圧倒的に巨大であり「伸び代」も圧倒的だということだ。
南半球の「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」4カ国の人口合わせても1億3千万で日本並み。GDPも4カ国合わせて2.5兆USドル。日本の半分以下である。
つまりラグビーの市場規模において南半球4ヵ国合わせても日本より小さいのである。
北半球「6ネイションズ」は合わせればはさすがにヨーロッパ、6カ国合わせれば人口、GDPともに市場規模は日本より大きいが。
なんにせよ一国のラグビー市場は日本はダントツ。もし日本に「本格的プロラグビー」が参入すれば、ラグビー関係者にはコントロールのしようも無い「市場規模」においては全く問題が無い。
チーム数や試合数でバスケと比較しても意味が無いことがわかるだろう。比較すべきは他の「ラグビー大国」。ラグビーがビジネスとして成り立っている国々。
逆から見れば、フィジー・トンガ・サモアなどの「ラグビー強国」はその人口・経済規模どちらの要素をとっても「市場規模」があまりに小さく、食える「プロリーグ」が存在しえない事がわかる。

日本ラグビーの未来を損なう外部的「宿命や現状」など存在しない


結局問題はそこなのである。競技人数や試合数、市場規模など、ラグビーの「宿命や現状」については問題などないか、日本はむしろ他国に比べて有利である事がわかる。
そして問題点の5。これだけが残る。
つまり協会や各企業・チームにその気があるのかどうか。つまり成功の可否はラグビー関係者にのみ委ねられている、という事だ。外部的要因などではなく。
ラグビーを「人気スポーツ」として定着させる具体的展望と戦略。これがあるのかどうか。

もともとラグビーは、「見るスポーツ」として、ひと昔前は日本でサッカーよりもバスケよりも人気スポーツだった。国立競技場を満員にできる競技など他になかったし、松尾・平尾・大畑などのスター選手はちょっとしたスポーツ好きな日本人は皆知っていた。プロ発足前のサッカー、バスケではそんな選手は大昔の釜本ぐらいか。バスケの田臥の知名度になるとそこまでいかないかも。
つまり日本で人気スポーツにならない理由はない。

ここで「競技としての国際的強さ」も当然問題となろう。
私も以前は「プロリーグの成功」にこの要素は不可欠だと考えていた。
しかしBリーグの成功は、その競技の「国際的強さ」は必ずしも必要条件ではないことを証明した。リーグ繁栄のための「具体的展望と戦略」さえあれば、プロリーグは成功する。
観客・ファンが応援できるチームを持ち会場でテレビで地域で熱狂出来る環境さえあれば、そしてもちろん選手たちが懸命なプレイをすれば「とりあえず」国際的強さなど二の次なのだ。
そして「競技の国際的強さ」は後からついてくる。
あの弱小男子バスケットはBリーグ3年目、ワールドカップ予選で4連敗から8連勝。、21年ぶりのワールドカップ出場、44年ぶりのオリンピック出場を決めた。

サッカーにしろ、ワールドカップ初出場を果たしたのはJリーグ発足の後だった。

「トップリーグの日本人1億円プレイヤー」は、果たして・・・

繰り返しになるが、あとは協会・運営企業による今後の「具体的展望と戦略」があるのかどうか、これに尽きる。そしてもちろん「実行力」。
お手本はJリーグ・Bリーグがある。最初はモノマネで全く構わない。
25年のノウハウが蓄積されたJリーグから経験のあるスタッフを招くのも有効だ。
そしてトップリーグの将来に向けた「具体的展望と戦略」を立てこれを「実行」する。
それさえあれば日本ラグビーの「完全プロリーグ化」は実現し成功する。
それさえあれば「日本人1億円プレイヤー」は決して「夢物語」ではない。

福井翔太2














高卒トップリーガー
福井翔大


「強豪国」では「大学生世代」がチームの主力にいるのは普通である。

国際試合やスーパーラグビーの中継などで、20歳そこそこの選手が主力として活躍していたりする。
これを実況する日本人アナが「この選手、日本で言えば、大学2年生ですからねえ。」とため息まじりの実況。答える解説氏も「そうですねえ、こういうの強豪国では普通ですからねえ。」と羨望のコメント。
よくある光景である。で、終わり。
ちょっと待った。
なぜ強豪国では「20歳そこそこの選手が中心として活躍するのか、日本ではそうならないのか」、ちょっと考えればわかる。いや関係者は皆ホントは判っているのに言わない!

伸び盛りの「大学生世代」をどう過ごすべきなのか

答えは簡単である。日本では高校から大学を経てトップリーグに入るのがお決まりのコースでそれ以外は実質ない。からだ。
18歳から20歳過ぎの、ある意味アスリートとして一番の伸び盛りを大学で過ごすのかトップリーグで過ごすのか、その成長度には、普通に考えて格段の差があるだろう。
代表やトップリーグチームの「中心」となりうる「才能」にとって「大学生選手」はいわばみんな「格下」かせいぜい「同格」だ。その中で日々練習をし、また試合をする4年間。
一方で18歳でトップリーグに入れば周りはみんな格上、チームメイトにも対戦相手にも日本のトップ選手どころか、今は世界のトップ選手がいたりする。そういう中で日々練習をし、また試合をする毎日。
どちらが「代表級の才能を持つ選手」にとって成長を促すのか論じるまでもない。
もちろん個人差はある。どのジャンルにも「遅咲きの才能」というのは存在して、プロ野球でも、大学や社会人を経たからこそ後に大輪の花を咲かせた、という選手もいるだろう。背伸びして18歳でプロ入りしなかったからこそ成功をおさめたのだ、と。もちろんそれはそれでよい。

プロ野球・サッカーは高卒が主流である
ちなみに現在のプロ野球、あるデータにより全選手を見ると高卒選手317人、大卒選手230人だそうだ。ラグビーのような「お決まりの、たった一つのコース」ではない野球界の自由な進路としてはまあ妥当な所なのだろう。ただやはり高卒の方が約1.5倍多いところは留意したい。
(ちなみにこのデータでは他に高卒社会人55人、大卒社会人113人、その他22人とある。)
もちろん数の比率だけの話ではない。高卒入団後数年で(つまりは大学世代で)チームの主力になる選手が多数存在することは皆さんご存知の通り。
私の世代だとやはり入団2年目の江夏が奪三振新記録401を作ったのが強烈な印象として残る。この年25勝、26完投。19歳で完全に「日本のエース」だった。
(追記・新しいところでは今年高卒2年目、19歳のヤクルト村上が現在セリーグ打点王。)
ただし野球でも十代でチームの主力になるのはやはり例外で、この時期はまず「体作り」。
ラグビーの場合その競技の特性から、野球以上に十代でチームの主力になるのはかなり困難だとは思う。野球以上にまず「体作り」。

サッカー界も見てみる。今度は全然別のデータ。
先日のアジアカップ日本代表メンバー。
惜しくも準優勝に終わったが特に準決勝のイラン戦など今後に大きな期待を持たせる戦いぶりだったといえる。
その代表23人に追加召集の3人を加えた26人。大卒プレイヤーは東口・シュミット・室谷・塩谷の4人のみ。長友・伊東・守田・武藤は大学に進学しているが在学中に「特別指定選手」になりJリーグチームに所属し練習をし試合にも出場している。
ここでは「学歴」の話をしているのではないので「大卒プレイヤー」に加えるべきでないのは当然である。
さらにあの大会を通じて皆が認めたレギュラー11人、プラス10番を与えられながら負傷離脱した中島を加えた12人を見ると全員が高卒。さらには高校の部活選手上がりではなく早くからJクラブの下部組織で育った選手も多数いる。
「年齢的に大学生世代」も3人か。まさに球技のチームスポーツの世界標準であるといえよう。
少し前なら柱谷・名波・井原・中山ゴンなど大卒選手が主力に多数いた時代から見ると隔世の感がある。

高卒ラガーだってやれるぞ
日本ラグビーのこうした傾向はムカシからのものである。ただ以前は「新日鉄釜石」という例外があった。松尾・森両氏の大学スター以外は皆地元東北出身の高卒選手。彼らを鍛え上げての7連覇はまさに偉業であり高卒選手の希望でもあった。こうしたユニークかつ実績を上げたチームは現在見当たらない。
(追記・今年釜石のヘッドコーチに就任したピアースが「地元の高卒選手を育てたい」としている。「釜石の伝統復活か」と今から楽しみではある。)
サニックスで高卒からクラブチーム経由(あるいは自衛隊経由)の選手が活躍しているのはうれしいが、これはまた違うレベルの話。他クラブでも高卒選手はいないわけではないが主力ではない。一昨年豊田自動織機で「高卒キャプテン」をしていた高田には注目していたが釜石に移籍したそうだ。

そんな中、去年、東福岡高校のキャプテン福井翔大が大学に行かずパナソニックにプロ契約入団した。かねてより上記の思いを抱えていた私にはとてつもなく喜ばしいニュースだった。
福井自身この道を選んだ理由としてこう述べている。
「同世代のアイルランド代表と対戦して力の差を感じた。
彼らはこの後プロに進む。そしてまた力をつける。これ以上差をつけられないためには自分もプロに進むべきと感じた。」
日本社会は一つ前例ができれば一気に動くことも少なくない。他チームもパナソニックも引き続き高卒選手のスカウトに動くだろう、高校生側もこれに応えるだろう。
と思っていたのだが、今年はどうなったのだろう。私の情報収集力では何も聞こえてこない。

御所実業のメイン平がNZに留学するという話のみだ。もちろんこれはこれで喜ばしい。がんばってほしい。
だが父がNZ人の彼の例は松島幸太郎などと同じくあくまで特別な環境下での選択であって、残念ながら日本のラグビー界の普遍的な前例にはならない。

もちろん私は「有力選手を大学になど行かせるな」と言っているのではない。自らの人生設計の中で、あるいは保護者との話し合いで「大学進学」も選択肢の一つである。
ただその場合サッカーの「特別指定選手」のような形で在学しながらトップリーグに入団することは充分に可能だろう。実際2年前だか筑波大の山沢は在学中にパナソニックに入団した。これは当時あまりに「異例」であったが、これが「異例」ではないようなシステム作りも求められる。

高卒トップリーガーの行く手を阻害するもの
今年、あるいはこれ以降、福井翔大に続く者が出ないとしたらその原因は何なのだろう。
「高卒プロラグビー契約などという訳のわからん世界より、マトモな人生設計として、皆、大卒社員ラガーを希望しているのだ」という考えもある。実際、福井の母親も将来を考えて「進学」を勧めたとはいう。だが福井は「高卒プロ契約」を選択した。
またパナソニックに有力選手が集中するのも全員「プロ契約」だからだという話もある。
そうなのだ。他の競技にしても「才能とやる気がある選手」はやはり「プロ契約」を望む。そしてその気概なければもちろんプロとしての成功はおぼつかない。
そう考えると「高卒プロ」が広がらないのは決して「人生設計」などのせいではないと思われる。
それよりは、高校生選手、協会、メディアそしてファンにこびりついて離れない「大学ラグビー大好き感覚」、ではないか。日本ラグビーでは長年大学ラグビーが人気の頂点を支えてきた。
たしかに高校の有力選手が皆トップリーグや海外にいったら大学ラグビーはだいぶさびれてしまうのは避けられないだろう。大学野球がプロ野球と高校野球に挟まれて目立たない存在であるように、あるいは大学サッカーが同様の位置づけであるように、大学ラグビーはトップリーグと花園の間に埋もれてしまう運命が待っている。
だが将来の日本のラグビーの発展と強化のためにどういう選択がいいのかはもはや論じるまでもないだろう。
あとはその「理想的選択」のために何をすべきか、を決定するだけである。
従来通り、企業チームと選手の「自由な選択」に任せるのか。
あるいは協会が主導して日本ラグビーの強化・発展のために「高卒トップリーガー」が生まれやすい環境を整備するのか。
前述した「学生トップリーガーも選択肢として提示できる環境」「セカンドキャリア」「契約形態」などを総合的に模索し一つの「形」を提示できるのか、である。
それとも「大学ラグビーの人気と感動」を維持するために、高校生が直接トップリーグ入りする道は従来通り限りなく狭くして、選手の強化は二の次、代表の強化は来日外国人選手任せにしますか


そうではないだろう。
「福井翔大に続け!」


【追記】
プロ入り後1年を振り返って福井翔大のインタビューが先日放映された。
「濃厚な一年でした。何もかも歯が立たなかった。」
「何も追いつけない状態にショックを受け続けて、辛いことも多かったけど」
「素晴らしい環境に入れて幸せだった。」
彼の目は、この1年をプロとして過ごしたことの「自信」と、未来への「希望」に輝いていた。

【追記2】2022.3月
その後も高卒有望ルーキーのトップリーグ・リーグワン入りは報じられない。
ただ李承信は20歳で帝京大を中退、コベルコ神戸スティーラーズに入団、2年目の今季は堂々のレギュラーを獲得している。
またメイン平同様、高卒後日本の大学を経ずにNZにラグビー留学、帰国後リーグワン入りという流れもわずかだが見られるようになった。
藤井達哉(宗像サニックスブルース→NECグリーンロケッツ東葛・SH)は20歳でトップリーグデビュー。
日野レッドドルフィンズの北原璃久(久我山→オタゴ大)や吉川遼(久我山→ワイカト大)なども今季は先発出場を果たしている。









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