おとぶろラグビー夜話

ラグビーに関するあれやこれや。

2020年01月

帰化して「日本人」になった元オールブラックス、ロス・アイザック。帰化前の名前は「アイザック・ロス」。両親が元ニュージーランド代表というまさにラグビーのサラブレッド。201㎝。
ロスアイザック2












トップリーグには多くのこうした「帰化選手」が在籍する。
W杯代表でいえば、ヴァル・中島・具・トンプソン・リーチ・ヘル・ツイ・ラファエレ・レメキ等など。当然彼らはトップリーグで「日本人」として常時出場できる。
ロスもこれからは所属する「NTTコミュニケーション」で「外国人枠」ではなく常時出場できるのだな。
ロスの、あの、でかくて、時にSHのように俊敏なプレイがこれからは常時見られるのは楽しみ。
と思っていたのだがそうではないようだ。


トップリーグの「外国人枠」は外国人とは限らない?

第3節のクボタ戦。ロスは後半途中から出場。同時にオーストラリア代表・リアリーファノが退出。これについて「BS日テレ」解説の大畑氏、
「外国人枠の都合ですね」。
ええ〜それって変じゃん。ロスは日本人なのに。大畑、わかってないのか〜。
と思ったが、考えてみる。
この「他国の代表歴のある外国人枠2人」って正確には「日本代表にはなれない選手」てことなわけだ。ロスの場合日本人になってもNZ代表歴がある以上、国際ルールで日本代表にはなれない。
てことはあくまで「外国人枠」として扱うということなのか。日本人であっても。

「トップリーグ規約」見たら確かにその通りだった。(資料参照)

ロスは2017年に日本国籍を取得しているが、私がこれまでこの問題、気にならなかったのは、去年Nコムには他に「他国の代表歴のある外国人」がいなかったからなのだな。その前年には南ア代表のヤンチースがいたがロスと合わせて二人。「枠」を超えようがなかった。ロスはほぼ先発出場していたと思う。
今年、リアリーファノと南ア代表マークスがNコムに加入して、この「枠」該当選手が3人になり「やりくり」が生じたというわけだ。

「トップリーグの出場資格」って、日本人のロスにとってはは意味不明だ
ロスが日本代表になれないのは「国際ルール」である。これには合理的理由がある。もちろん日本独自で変更などできない。
だが、「トップリーグの出場資格」はトップリーグで決められる規則。
ロスは「日本人で常時出場可」でいいのではないか。
と思ったら、規約では「但し」がついて、「2016年8月31日以前に」この枠にいた選手は「日本国籍選手として試合に出場することができる」のだそうだ。(資料
参照)
ヒーナン・ダニエルこの「2016年規定」に該当する選手としてはオーストラリア代表歴のあるヒーナン・ダニエルがいる。ヒーナンは2014年に日本国籍取得。パナソニックで「文句なし」日本人枠で出場している。
さてこの「2016年規定」、「日本国籍取得後、例えば3年で他国代表歴のある選手もトップリーグで日本人枠で出場できる」と言う意味なのだろうか。ロスの帰化は2017年。来年度にはこの規定が改定されて「2017年」になればロスも晴れて「日本人枠」で出場できるということなのか。

この辺なかなか細かい。そもそも日本人になったのならソク「日本人枠」でいいではないか。まあシーズン中ではややこしいのでせめて翌年から、で。
この該当者が何十人もいて「日本代表資格者」の出場枠が減ると言うならこの規制も必要かもしれない。ただこの場合も、「外国籍選手枠」などというべきではない。「外国籍」などではないのだから。「他国代表歴選手枠」というべきだろう。(注1)
ともかくこの「2016年規定」、ロスだけに適用されるものだ。日本を愛し、日本国籍を取得し、家族とともに日本に居住し、子供たちを日本の小学校に通わせる「日本人ラガー」を「外国人扱い」する理由ってあるのか。

〈追記1〉
ロスのごく親しい友人から連絡をいただいた。(下記コメント欄の方)その方によると、「2016年規定」は固定であり更新されることはないのだという。つまり他国代表歴があり日本人になってもトップリーグで「日本人枠」で出場できるのはヒーナンで「締め切り」ということだ。(もう一人、元トンガ代表、神戸のアンダーソン・フレイザーも)
もちろんこんなことはどこにも「明文化」されてなどいない。あくまで「内部情報」。確認のしよいうもない。来年度の規約が公表されればわかるか。


ロスアイザック2「元オールブラックス日本人」の活躍が見たい
日本では外国人が結婚や血縁によらず日本国籍取得するのって大変なのだ。
「出場枠」や「就職」目当ての「打算的帰化」など日本では認めない。従前の国籍を保持しつつ新たに国籍を得る「二重国籍」は多くの「先進国」で認められるが日本ではダメ。犯罪歴があったり、税の滞納があったり、その他素行不良が認められればダメ。
「日本語力」も含め「日本国籍取得」には「本当に日本人になる資格・覚悟があるのか」が法務省により審査される。(注2)


ロスや「ボーク・コリン雷神(注3)」、そして上記「帰化選手」達は、はこういう「厳しい日本人テストに合格」したってわけだ。完全な日本人。
その「日本人」にトップリーグでこれ以上の「枠・規制」はいらんよなあ。
まして「他国代表歴」を持って来日、帰化条件である5年以上居住した選手といえば、まあ年齢は30歳前後。選手としては晩年に当たる。残る数年の選手生活を、愛する日本で日本のためにトップリーグでプレイする。もちろん彼のプレイ・経験は敵味方問わず他のトップリーガーや学生・子供達の素晴らしいお手本となる。そこにブレーキかける意味ってあるのか。
「元オールブラックス日本人」の活躍は常時見たい!

〈追記2〉
ある方がこの記事を見て自らのFacebookでシェアしたところ、その「パパ友」であるロスの目に止まり、その方が日本語に翻訳してロスに見せたという。ロス、この記事を大いに気に入ってくれてた上、自らのSNSでシェア。このことはラグビー関係者にもほとんど知られていないので、まずぜひみんなに知って欲しいのだそうだ。
そのシェアをまた別のロスの友人が見て私に連絡をくれた。
「2016年規定」についてはその方からの情報。
というわけで、この記事、改めて、「拡散希望」です。
もちろん「私のため」などではなく、「ロスのため」、「現在・将来日本でプレイする来日ラガーのため」、「日本のラグビー界全体のため」、さらには「日本社会の幸福のため」、です。


《補足1》世間の一部ではこうした人々を、決して「日本人」とは呼ばず、「日本国籍を取得した外国人」みたいな表現が使われたりする。これ、言葉として間違ってる。「日本国籍を取得した人」は「日本人」。逆に米国籍ノーベル物理学賞の南部陽一郎氏は「米国人」。
「先住国民」と「帰化国民」を区別したいなら「〜系」を使えば良い。南部陽一郎氏は「日系米国人」。ロス・アイザックは「NZ系日本人」。


(注1)ボーク・コリン雷神の「7人制でNZ代表歴」の扱いについてはここでは触れない)

(注2)以前Jリーグ川崎フロンターレにジュニーニョというブラジル人ストライカーがいた。
W杯南ア大会前に「日本に帰化して日本代表に貢献する」と宣言してサポーターを沸かせたが「日本国籍取得」は叶わなかった。この時点で日本に5年は居住していたが日本語がほぼダメだったためだという。そもそも親善試合とはいえ「ブラジル代表歴」があったため「日本代表」にはなれなかったとの説もあるが、ロス・アイザックなど、日本代表になれなくても日本人になるという「日本愛」があったが、ジュニーニョにはそんなものはなく単に「どこでもいいからW杯に出たい」という「打算的場当たり帰化申請」であったと言われてもしょうがないだろう。
日本サッカー協会からの「特例要請」もあったかもしれないが、先述したように日本国はこういう特例「帰化申請」は認めない。

(注3)ラグビー界では帰化すると登録名も実名に伴い「名姓」から「姓名」に変わる。
さらには本人の希望で漢字名が添えられたりする。この旧「コリン・ボーク」は「ボーク・コリン雷神」に。今回の代表プロップは「ヴァル・アサエリ愛」その他「カウヘンガ桜エモシ」とか「ロトアヘア・ポヒバ大和」とか弟の「ロトアヘア・アマナキ大洋」とか。ただしこれ、ヴァル以外はみんなリコーの選手。誰が流行らせたんだか。まあ日本人になったからには漢字使いたいんだろうな。

【資料】トップリーグ規約
第35条
4.日本代表選手の資格がない日本国籍選手及び特別永住権を保有する選手の扱い
他国代表歴及び他国セカンドシニア代表歴を有する日本代表選手の資格がない日本国籍選手及び特別永住権を保有する選手は、代表歴を有する国の選手と同様に外国籍枠選手、アジア枠選手として出場する。また、5 月末及び 11 月末に日本国籍選手として登録した選手が、登録日以降に他国代表歴及び他国セカンドシニア代表歴を有した場合、そのシーズンは日本国籍選手として出場することができるが、翌シーズンは代表歴を有する国の選手と同様に外国籍枠選手、アジア枠選手として出場することになる。但し、2016 年8 月 31 日以前に、他国の代表歴及び他国のセカンドシニア代表歴を有し、日本国籍選手として登録した選手は、日本国籍選手として試合に出場することができる。

《補足2》ただこの規約、なかなかわかりにくい。最後の「但し」部分の日付がどの文にかかるのか。私の解釈が間違っているのならご指摘いただきたい。
《補足3》


上記規約は
https://www.top-league.jp/wp-content/uploads/2019/05/kiyaku_2019.pdf
ただ「トップリーグ公式サイト」の「規約」にはこの「35条4」が見当たらない。

http://archive.top-league.jp/about/kiyaku/2012/a/03.html
そもそも「強豪国代表歴のある選手が日本人になる」などと規定作成時に想定もしていなかったのだろう。
「ヒーナンのせい」で慌ててこの規定を追加したか。で、追加したものの、このサイトの「改正作業」をしていないものと思われる。
この辺りでもこの「規約」の「場当たり的いい加減さ」がうかがわれる。

〈追記3〉
その後ロスや多くのファンはトップリーグ日本協会に規約の改定を求めたが認められず、「外国人」との名称は見直す、だけとなった。ロスはNコムを退団。NZでプレイを続けている。
「いつか必ず日本に帰ってきます。私のホームですから。」

トヨタの新ジャージを見たらミュンヘン五輪男子バレーチームを思い出してしまった。
トヨタ男子バレー2








男子バレーが国民的人気スポーツだった頃
1972年のミュンヘン五輪の前後、男子バレーの松平監督、大古・横田・森田・猫田・島岡らのスター達は日本人みんなが知っていた。
大会前には「金メダルへの道」という「ドキュメントアニメ」が毎週テレビ放映され、「国民の期待」が煽られたものだ。
準決勝ブルガリア戦の大逆転勝利を経て「有言実行」の金メダル。
男子バレーは間違いなく国民的人気スポーツだった。
今、男子バレー選手の名前一人でもあげられる人が何人いるだろうか。私でも二人ぐらいか。西田、清水・・。
あの人気は結局「強さ」だけに支えられたものだったと痛感する。弱くなれば一般人は見向きもしない。Vリーグの「平均入場者数」も減少の一途をたどる。

現在の「ラグビー人気」を支えているもの
さて空前のラグビー人気。
「金メダル」は取れなくても代表の「強さ」がこの盛り上がりを導いたのは間違いない。
リーチ、稲垣、福岡、松島、姫野らの名前はすっかり有名になった。
このままさらに強くなりさらに人気が定着して欲しい。
ただ「勝負の世界」、いいことばかりじゃない。
今回準優勝のイングランドも前回は「自国開催でプール戦敗退」という屈辱。今大会のNZの準決勝敗退、スコットランドのプール戦敗退も「屈辱」であったろう。
日本もそういうことが今後あり得ることは覚悟しておきたい。

問題はそこで「ラグビー人気」しぼんでしまうのか、だ。
「強さ」や「一時的感動」だけに支えられた人気であるなら、当然男子バレーと同様の運命をたどる。


国内リーグの充実こそ永続的人気を維持する
一方サッカーなんか決して「金メダル」や「優勝」を勝ち取ったわけではない。ロシア大会では決勝トーナメントに進出し盛り上がったが、その前ブラジル大会では期待を裏切りグループリーグ敗退。今回のU23アジア選手権も惨憺たる成績で終わった。
だがサッカーは「代表」がどんな成績であろうと人気を維持している。Jリーグ各会場にサポーターが溢れる。J3ですら。
現在J1〜J3で46クラブ。入場者数も今年歴代最多を記録した。
バスケ代表なんてもっと弱いけどBリーグは確実に「草の根ファン」を増やしチーム数も増え続ける。現在B1・18チーム、B2・18チーム。入場者数も3年連続増。チャンピオンシップは全試合満員。

「国内リーグの充実」こそ競技スポーツの人気を支える柱であるということだ。ファンにとって魅力ある「国内リーグ」、応援したくなるクラブ。選手にとって魅力のある「国内リーグ」。入団したくなるクラブ。
これらが充実していれば「競技人気」は「代表の成績」に振り回される事はない。

「ラグビーは今のままでいいじゃないか、人、集まってるし」って声もある。
そうなのか。この人気は「代表」が結果を残せなくても続くのか。
「ラグビーの面白さを日本人は知ったのだ」って声も聞こえてきそうだ。
それは事実だろう。
ただ、だからと言って「生活の中の限られた時間と金をラグビーに使うか」、はまた別の問題。
メデイアが「限られた時間と紙面をラグビーに割くか」も同様。
このラグビー人気を維持・拡大するためには人々の他の娯楽、「生活に割く金や時間」等を押しのけてでも見たくなる、関わりたくなる、存在にならなければならないのだ。
メデイアにとって他の事件や情報を押しのけてでも報道したくなる存在にならなければならないのだ。テレビ局にとって、他の番組を休んででも中継したくなる存在にならなければならないのだ。
ラグビーが。

「国内ラグビーリーグ100年構想」を

新リーグの中身が少しずつ聞こえてくる。
はじめは100点満点でなくていい。
ただ「Jリーグ100年構想」に負けないだけの大きな、長期的なビジョンであることを期待する。
「目先の収支」「目先の力関係」「現状の追認」による「妥協の産物」などではない。
「100年先に日本でラグビーがどうであって欲しいのか、どうあるべきか」から逆算しての現在位置の策定。
新リーグ設立の目的はあくまで「ラグビーが日本の文化になる」ためのものでなければならない。

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