2020.1.10
花園決勝。
桐蔭学園ロック青木恵斗のオフロードパスには度肝を抜かれた。

青木1














後半23分。 ボールを受けて突進する青木がゴール前7mでタックルを受けたのは15mライン上、ここで青木は余裕をもって逆手でオフロードパス。このパスを受けたウィング西川の立ち位置は5mラインやや内側。てことはこのパスの「飛距離」は8〜9mってことだ。この長さのラストパスを逆手オフロードで正確に通す。トライにつなげる。
テレビ解説の大西将太郎も唸る。
「ワールドカップが帰ってきましたねえ。」
実際、大学ラグビーでもトップリーグでもこれだけの距離、正確なオフロードを私は見た記憶がない。
代表戦で中村、マフィあたりがたまに見せるまさに「ワールドクラス」のプレイ。
今や高校生ロックがここまでやるのか。それとも青木が突出しているのか。しかもまだ2年生だと?
なんにせよマグレや思いつきでできるプレイではない。
桐蔭では日々、決勝の舞台でもこれだけのプレイができる意識を育み、その練習を積んでいるということなのだろう。
青木2








ボールを受けたウィング西川の動きがその事実を裏付ける。
普通に「いいウィング」なら青木がタックルされたこの瞬間、すかさず青木に寄りラックに参加してボールを確保しようとするだろう。「並のウィング」なら次の展開に備えてライン際で待機、か。ちょっとトロいウィングなら天を仰いで悔しがって終わり。
ところが西川、青木がタックル受けた瞬間には片手をあげて自分の立ち位置を明示、「ボールをよこせ」と合図している。声も確実に出していただろう。
つまりこのプレイ、青木の「超ロング逆手オフロードパス」はチームとして完全に「織り込み済み」なのだ。「桐蔭ラグビーの目指すもの」の大きさを見せつけられたプレイだった。
この瞬間から「花園優勝を狙う高校チーム」にとって「このレベルのプレイ、ワールドクラスのプレイがスタンダードになった」ということでもある。(プレイスタイルは各校あるにしろ)

「日本ラグビーの躍進」というとどうしても「代表の大躍進」ばかりが注目される。
が、このプレイは日本ラグビーが「高校生レベル」でも確実な「大躍進」を遂げていることを証明したと言える。現在進行形で。
この高校生たちが大学あるいはトップリーグへと進み、さらなる成長を遂げる。